られて、あの恐ろしい説明を聞いた記憶と、この結び目の白い埃は永久に両立しない二つの事実に相違なかった。正確に矛盾した二つの出来事であった。
 私は全身に伝わる悪感《おかん》を奥歯で噛み締めながら、尚《なお》もワイワイと痙攣する両手の指で、青い風呂敷包みを引き拡げた。するとその中から最前見た通りの新聞紙包みと、若林博士の調査書類の原本とがやはり最近見た通りの形にキチンと重なり合って出て来た。それ許《ばか》りでなくメリンスの目から洩れ込んだ細かい埃は、調査書類の原本の表紙になっている黒いボール紙の上にもウッスリと被《かぶ》さっていて、絵巻物の新聞包みを取除《とりの》けると、又も長方型のアトカタがクッキリと残った。
 私は又も唖然となった。余りの不思議さに狐に抓《つま》まれたようになりつつ、自分が正気でいるか如何《どう》かを確かめるような気持ちで、まず絵巻物の新聞包みをソロソロと開いた。その新聞紙の折れ具合、箱の蓋の合い加減、巻物の捲《ま》き様《よう》、紐の止め方まで細かに調べてみたが、余程几帳面な人間の手で蔵《しま》い込んであったものらしく、どこもここもキチンとしていて、二重に折れ曲った処
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