の灰の一片すらなく、相も変らぬ大欠伸を続けたまま、黄金色《きんいろ》と黒の瞳でグリグリと私を睨み上げている。
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……不思議だ……きょうの午前中の出来事の大部分は夢だったのか知ら。……私は確かにあの風呂敷包みの内容《なかみ》を見たのだが……僅かの間に、あんなに埃がたかる筈はないわけだが……。
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私はやおら立上った。膝頭が気味悪くブラブラして脱け落ちそうになるのを、大|卓子《テーブル》の縁に突いた両手で辛《かろ》うじて支えながら、綿のような身体《からだ》を無理矢理に引立てた。ヒクヒクと戦《わなな》く指でメリンスの風呂敷包みを掴んで引寄せると、あとに四角い埃のアトカタがクッキリと残った。その結び目に落込んでいる埃の縞《しま》を今一度よく見たが、どう考えても最近に人の手が触れた形跡はない。そうして、その結び目を解いている中《うち》に、白い埃の縞は跡型もなく消え飛んでしまったのであった。
私は唖然となった。
眼の前の空間を凝視《みつめ》たまま、今朝《けさ》からの記憶を今一度頭の中で繰り返して見た。けれども、この風呂敷の中のものを正木博士から見せ
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