になった田舎道を一直線に駆け出していた。
 やがて明るい、美しい街筋に走り込んだ……。
 間もなく暗いゴミゴミした横町を突き抜けた……。
 三味線や太鼓の音の聞える眩《まぶ》しい通りを飛んで行った……。
 電燈の並んだ防波堤を三方|海原《うなばら》の行き止まりまで来てビックリして引き返した……。
 いろんな店の品物や、電車や、自動車や人ゴミが走馬燈《まわりどうろう》のように後《うしろ》へ後へと辷《すべ》った……。
 汗と涙で見えなくなる眼をコスリコスリ元来た方へ元来た方へと急いだ……。
 ……眼が眩《くら》んで、息が切れて、そこいらが明るくなったり暗くなったりしたように思う。
 ……眼の前に灰色の鳥が無数に乱れ飛んでは消えて行ったように思う。
 ……いつの間にか往来に倒れているのを誰か扶《たす》け起してくれたように思う。そうしてそれを振り離して、又駆け出したようにも思う。
 そんな事を繰り返して行くうちに私はとうとう何もかも判らなくなってしまった。何のために走って行くのか。どっちの方向へ行こうとしているのか考えようともしないようになった。時々見えたり聞えたりするものを夢うつつのように感
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