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……トテモ恐ろしい……考え切れないくらい恐ろしい秘密だ。一千年前に死んだ呉青秀の悪霊と、現代に生きている正木博士の科学知識との闘争《たたかい》は今|酣《たけなわ》なんだ。
……しかも正木博士は、この研究に志した当初の一瞬間から、その良心の急所を呉青秀の悪霊に掴まれてしまっている。人間愛の中《うち》でも最大最高の親子の情と、夫婦の愛とを握り殺されてしまっている。そうして自分自身にはそれを気付かないで、どんな事があっても自分だけは決して呉青秀の悪霊に呪われまいと頑張り通して来ている……その呪われた心理状態を、色々な論文や、談話やチョンガレ歌なぞの形に現わして、次から次に公表して来ている……その一方には千世子を初めとして呉一郎、モヨ子、八代子と次から次に痛ましい犠牲を作り出しつつ、勇敢にもそれを踏み越え踏み越えして、科学の勝利を確信しつつ……呉青秀の悪霊を向うに廻しつつ、一心不乱に斬って斬って切り結んでいる。……ああ何という凄惨な、冷血な、あくどい[#「あくどい」に傍点]執念深い闘争《たたかい》であろう。……魂から滴《したた》り落ちる血と汗の臭気《におい》がわかるよう
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