……そうして、やはり旧《もと》の自縄自縛に陥ってしまっているそのミジメさ……愚昧《おろか》さ……。
[#ここで字下げ終わり]
「……アブナイッ……」
「馬鹿ッ……」
「アターッ……」
という怒号と悲鳴が、私の直ぐ背後《うしろ》から重なり合って飛びかかって来た。と同時に、
……ガラガラガラガラ……ガチャンガチャン……パーン……パチーン……
という激しい物音が、引き続いて私の足の下に起った。……ハッとして振り返ると、其処辺《そこいら》に立っている人が皆、私の顔を睨みつけている。……私の直ぐ背後《うしろ》には青塗の巨大《おおき》な貨物自動車が向うむきに停車している……くの字形になった自転車と、無残に壊れた空瓶の群が私の足下に散らばって、茶褐色の醤油がダラダラと漂《ただよ》うている。……浅黄色《あさぎいろ》の事業服《しごとふく》を着た大男が自動車の上から飛び降りて、タイヤの蔭に手を突込みながら、紙のように血の気を失くした印絆纏《しるしばんてん》の小僧を、眩《まぶ》しい日陽《ひなた》に引きずり出している……人々がその方へ駆け寄って行く……。
私はスタスタと歩き出しながら又も考え続けた。
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