のだ。極度に穢《けが》されると同時に、極度に浄《きよ》められている……飽く迄も悲しく、飽く迄も痛快な……。
……しかもその正木博士は、その呪われた研究がいよいよ最後の場面に這入ると同時に、若林博士から投げ与えられた彼《か》の調査書類を見ると流石《さすが》に胆を冷してしまった。その相手の恐るべき透徹した脳髄が、極めて遠廻しに……一分一厘の隙間《すきま》もなく自分を取り囲んでいる事を知った。そうしてその恐るべき明察の重囲に陥った苦しさに堪《た》え得ないままに、極めて卑怯な、且つ徹底的に皮肉巧妙な手段を以て逆襲を試みようとした。お手のものの患者の中から選み出した第三者の私を使って極めて冒険的な発表を決行させるべく、一切を私の前に告白した。
……が……その告白は初めから終りまで自分一人で計画して、タッタ一人で実行した事を二人に分割したものであった。その独特の機智を以て、相手の性質や行動を巧みに描写しつつ取り入れた、空前の巧妙精緻を極めた……そうして、それと同じ程度に浅薄幼稚を極めた思い付きであった。……その自縄自縛を切り抜けている一人二役式の思い付きの非凡さ……MとWの使い分けの大胆さ、巧妙さ
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