の中に、手足を蠢《うごめ》かして藻掻《もが》いている孩児《あかんぼ》の幻影《まぼろし》を見た。青澄んだ空の只中を黄色く光って行く飛行機を仰いだ……そのあとから白い輪廓ばかりの死美人の裸体像が六個《むっつ》ほど、行儀よく並んで辷《すべ》って行くのを見た。
人の頭のように……又は眼の形……鼻の恰好……唇の姿なぞ取り取り様々の形に尾を引いて流るる白い雲……黒い雲……黄色い雲……その切れ目切れ目に薬液のように苦々しく澄み渡っている青い青い空……そんなものの下に冴えに冴え返る神経と、入り乱れて火花を散らす感情を包んだ頭の毛を、掻き※[#「てへん+劣」、第3水準1−84−77]《むし》り、掻き乱しつつ……時々飛び上る程の痛みを前額部に感じつつ……眩《まぶ》しさと砂ほこりとでチクチク痛み出した眼をコスリコスリ、どこへ行くのか自分でも判らないまま、無茶苦茶によろめいて行った。
……川……橋……鉄道……赤い鳥居……その赤い鳥居の左右に、青白い顔をして立っている正木博士と若林博士の姿……終《つい》には駆け出したくなるのを押え付け押え付けして歩いて行った。
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…………何もかも真実で
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