ソンナ常識で想像出来ない或る場合とか、又はその余程アタマの構造の違った人間とかが実際に出現して、由来記の後の白紙ばかりの処をズット先の方まで開いて見た事があったとしたらドウであろうか。早い話が、この絵巻物の筆者呉青秀は、黛夫人の白骨になった姿だけを、悠々と落ち付いて、一番おしまいの処に描いているような事がありはしまいか。……それを黛夫人の妹の芬《ふん》女を初め、呉家の代々の人々から正木博士に到るまで、唯、常識で考えて、この中に描いてある死像を六体限りとアッサリきめているような事がありはしまいか。……そうして更に、その中でも、この絵巻物が人を発狂させる程の魔力を持っていることを看破するような頭を持った人間だけが、そこまで気を廻して開いて見ているとしたら、どんなものであろう……もしそんな事が在り得るとしたら、そこに何かしら落ち込んでいないとはドウして云えよう。……しかもその落ち込でいる何かしら[#「何かしら」に傍点]は、たといそれがドンナに微細なものであろうとも、スバラシク重大な意味をあらわす事になるではないか。この絵巻物を使って、この事件を捲き起した犯人の正体をズバリと指す事になるかも知
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