われる程の淡い、上品な香水の匂いに違いない事が解った。
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……面白いナ。この調子で行くと、まだ色んな物が発見出来そうだぞ。この黴臭い匂いと樟脳に似た木の香《か》が弥勒様の木像の中で滲《し》み込んだものである事は、誰でも考え付く事であろうが、併し、この香水の匂いにはチョット気の付く者がいなかったであろう。そうしてこの床《ゆか》しい芳香は、この絵巻物の前の持主を暗示するものでなくて何であろう。
……占めた。もしもこの上に、まだ誰にも気付かれていない何物かが在ったら最後……それは一本の髪の毛でも煙草の屑でもいい……犯人を決定する有力な材料になるのだぞ……
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 ……とさながらに自分自身が名探偵にでもなったように考えつつ、一層|勢付《いきおいづ》いて来た私は、絵巻物を頭の方から、逆に捲き込みながら、絵の処から由来記の文章の終っているところまで、裏表とも叮嚀に見て行ったが、先刻《さっき》は意地にも我慢にも正視出来なかった死美人の腐敗像が、今度は愛想《あいそ》もこそ[#「こそ」に傍点]もない只の顔料の配列としか見えなくなっているのには尠《すく》なからず驚
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