た顔面《かお》一パイに、蒼白い汗が輝やき流れて……額《ひたい》の皺を逆さに釣り上げて……乱脈な青筋をウネウネと走らせて……眼をシッカリと閉じて……義歯《いれば》をガッチリと喰い締めて……両手でシッカリと椅子の肱に掴まりながら、首と、肱と、膝を、それぞれ別々の方向にワナワナとわななかせて……。
……コトコトコトコトコトコトと扉《ドア》をたたく音…………。
……私はドタリと廻転椅子に落ち込んだ。
何かの宣告のような……地獄の音《おと》づれのような……この世のおわりのような……自分の心臓に直接に触れるようなそのノックの音を睨み詰《つめ》て聾唖者《おし》のように藻掻《もが》き戦《おのの》いた。……扉《ドア》の向うに突立っている者の姿を透視しようとして透視出来ないまま……救援を叫ぼうにも叫びようがないまま……。
コツコツコツコツコツ……。
……と……やがて正木博士が、全身の戦慄を押し鎮めるべく、一層烈しく戦慄しながら、物凄い努力を初めた。……すこしばかり身体《からだ》をゆるぎ起して、桃色に充血した眼を力なく見開いた。灰色の唇をふるわして返事をすべく振り返ったが、その声は、痰《たん》に絡
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