を回復しない限り、どうしてそんな浅ましい、恥知らずな事が出来ましょう。……況《ま》して……まして……こんな穢《けが》らわしい研究の発表なんぞ……ダ……誰が……エエッ……」
「……マ……待て……」
 正木博士が座ったまま、真青になって両手を上げた。
「……が……学術のために……」
「……ダ……駄目です……駄目です……絶対に駄目です」
 私の眼から、涙が止め度もなく溢れ流れはじめた。そのために正木博士の顔も、部屋の中の光景もボンヤリして見えなくなったが、それを拭いもあえずに私は叫び続けた。
「学術が何です。……研究が何です。毛唐の科学者がどうしたんです。……僕はキチガイかも知れませんが日本人です。日本民族の血を稟《う》けているという自覚だけは持っています。そんな残忍な……恥知らずな……毛唐式の学術の研究や、実験の御厄介になるのは死んでも嫌です。……学術の研究というものが、どうしてもコンナ穢らわしい、恥知らずな事をしなければならないものならば……そうして僕が是非ともコンナ研究に関係しなければならない人間ならば、僕はそんな過去の記憶と一緒に、この頭をブッ潰してしまいます……今……直ぐに……」

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