力を試みるべく……そうしてその結果を学界に公表する名誉を自分のものにすると同時に、そうした非人道に関する罪責の一切合財を、相手の頸部《くび》に捲き付けるべく、一心不乱に爪牙《つめ》を磨《と》ぎ澄ましている二人であったのだ。その犠牲が誰の児か……なぞいう事は、モウとっくの昔に問題でなくなっていたのだ。ただその児が、確実に呉家の血統を引いた男の児でさえあれば、学術研究上、申分《もうしぶん》ないと思っていただけなのだ」
今度こそは最早《もはや》、とても我慢出来ない戦慄が、私の全身に湧き起った。頭をシッカリと抱えて、緑色の羅紗《らしゃ》の上に突伏した。悽愴たる正木博士の声……解剖刀《メス》のように鋭い言葉の一句一句に全神経を脅やかされつつ……。
「……結果は遂《つい》に来た。二十年前にMが予想していたところに落ちて来た。Mが恐れ、戦《おのの》き、藻掻《もが》き狂いつつ、逃げよう逃げようとしていたその恐ろしいスタートの決勝点に、悪魔的な不可抗力をもって立還《たちかえ》るべく余儀なくされて来た。二十年前に彼《か》の……Mを逐《お》い走らした彼《か》の卒業論文『胎児の夢』が、眼に見えぬ宿命の力をも
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