学校の七夕会の陳列室で、五年生の成績品のうちにIの名前を発見した。もっともその時までMはウッカリしていて、Iの成績が抜群の結果、年齢《とし》はまだ十一歳のままに、一級飛んだ五年生になっている事に気付かずにいたので、もしかすると別人ではないかと疑ってみた事であった。
 ……が……そこに如何なる天意が動いたのであろう。間もなくその陳列室へ這入って来た一人の生徒が、偶然にも背後《うしろ》を振り返った視線がピッタリとMの視線と行き合ったのであったが、その時にMは、吾ともなく視線を背向《そむ》けずにはおられなかった。逃げるようにして校門を出ると、思わず眼を蔽うて、科学者としての自分の生涯を呪わずにはおられなかった。その生徒が全くの母親似で、眼鼻立ちから風付《ふうつ》きのどこにも、Wの子らしい面影がないと同時に、Mに似たところさえもなかった事を思い確かめて、ホウと安心の溜息を吐《つ》きながらも、直ぐに後から、その溜息を呪咀《のろ》わずにはおられなかった。……遠からず学術実験の十字架に架けられて、無残な姿に変るであろうその児の顔立ちの、抜ける程可愛らしくて綺麗であったこと……その発育の円満であったこ
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