思議な絵巻物の力を、科学の力で打ち破って、その呪咀《のろい》がこの児にかからないようにして下さい。是非是非お頼みしますから……。
[#ここで字下げ終わり]

 ……という涙ながらの話だ。
 ……Mは呆れた。且《か》つ喜んだ。なる程それではイクラ探しても判明《わか》らない筈だ。吾々の捜索方針と絵巻物の隠れ処が、ちょうど鼬《いたち》ゴッコ式に入り違いになって行ったので、二人とも絵巻物の無い方へ無い方へと捜索して行った訳だ。偶然の作用を推理の力で追っかけたんだから見付からないのも無理はない。……なぞと独りで北叟笑《ほくそえ》みながら、T子にも内証でコッソリ姪の浜へ来て、如月寺の本堂へ忍び込んで、御本尊の首を抜いてみると……。
 ……あとは説明しない……しても説明にならないから……」
「……………」
「裁判長の判断に任せる」
「……………」
「……WとMのその後の行動によって……否、今日只今、この仮法廷に於て……吾輩という検事の論告と、Mという被告の陳述を憑拠《ひょうきょ》として、絵巻物の行衛を推断してもらうよりほかに方法はない」
「……………」

「……Mは黙々として寒風に吹かれながら姪の浜
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