出して、福岡でWとコッソリ同棲する事になった。一方に姉のY子もハッキリかウスウスかそんな事情を心得ていたらしく、あまり追求しなかったのでイヨイヨ好都合であったが、しかし肝腎カナメの絵巻物の所在は依然として不明であった。彼Wの眼力を以てしても、果してT子が絵巻物を持っているか、いないかすら看破し得ない有様であったらしい。
……しかしWは失望しなかった。なおもT子の身のまわりを探ると同時に、時折は学校の仕事を放《ほ》ったらかしてまでもT子の行動を附けまわしていたのであったが、これはWとしては無理もない事であった。T子が、如月寺の和尚様と、自分の姉のY子以外には誰も気付まいと思って使っていた『虹野ミギワ』の変名や、品評会に出した支那古代の刺繍なぞが、絵巻物の故事来歴を知り抜いている彼Wの眼を逃れ得よう筈はないので、どうしてもT子がどこかに隠し持っているに違いないという推測は、当然過ぎるくらい当然な推測であった。
……しかし一方に、怜悧そのもののようなT子自身も、そうしたWの態度の中から、窃《ひそ》かに或る事を察していた。
……つまりハッキリとはわからないが、Wが自分に近付いて来た目的が
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