そうですが、それは今の中《うち》に、よく調査してみようではありませんか。そうして一番新らしい科学の知識で研究して、その悪因縁を断ち切っておこうではありませんか。そうしないと、もし二人の間に男の児《こ》が生まれるような事があった時に、剣呑《けんのん》な思いをしなければなりませんから』といったような塩梅《あんばい》式に、言葉を巧みにして絵巻物を手に入れようとした。……けれども流石《さすが》のT子さんも、こればかりは手離しかねたと見えて『そんなものは知りません』と云うのでナカナカ出さない。第一その絵巻物を隠している場所が判らないので、今度は手段《て》を変えてT子を福岡へ連れ出しにかかった。連れ出しさえすればキット、その絵巻物を持って来るに違いない……というのがWの見込みであったろう事は云う迄もない。
 ……すると又都合のいい事には、T子の姉婿のGという京染|悉皆屋《しっかいや》が、仕様のないニヤケ男の好色《すけべい》野郎で、婿入りをすると間もなく、義妹《いもうと》のT子に云い寄りはじめて、恐ろしく執拗《しつこ》いので困っている矢先だったから、Wに誘いをかけられたT子は二つ返事で家《うち》を飛
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