った調子で、グングンと求心的に肉迫して行くと実に意外千万な事実を発見した。すなわち如月寺の縁起文の中では、呉虹汀《くれこうてい》の手で焼棄てられた事になっている絵巻物が、実は焼棄てられていなかった……ツイこの間まで御本尊の胴体の中に厳存していたのみならず、それを最近になって何者かが発見して、どこかへスッパ抜きに持って行ってしまっているに相違ない事実が発見されたのだ。
……これは呉家の系図と、これに絡まる伝説の史実的調査だけで満足するつもりであった二人にとって実に思い設けぬ発見であると同時に、非常な失望を齎《もたら》したものであった。けれども、その失望は一時の事であった。若い二人は間もなく前に倍した勇気を盛り返しつつ、今までよりも一層、申合わせを厳重にして、あらゆる方面から手を廻して絵巻物の行衛《ゆくえ》を探索した。そうしてその結果を綜合してみると、その泥亀《すっぽん》抜きの犯人というのは又、意外千万にもY子の妹のT子という美しい女学生に違いないという目星が付いたので、サア事がややこしくなった。少々|中《あ》てられるかも知れないが、裁判長だから仕方があるまい……ハハハ……」
「…………
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