…」

「……ところでWとMの二人の提携はここまで来ると又、キレイに断絶する事になった。……アノT子に絵巻物を握られていては事が面倒だ。お寺の御本尊の中に在るのと違って、生きた人間が保管しているのだから盗み出すにしても容易な事ではない。ここいらでこの研究は一時中止しようじゃないか。ウン。そうしよう。いずれ又……とか何とかいうので最初の意気組にも似合わない、恐ろしくアッサリとした別れ方であったが……しかし内実は決してアッサリでない事を、お互いにチャンと見透《みす》かし合っていた。アッサリどころか、前に何層倍した熱烈な決心をもってこの実験を突き貫《ぬ》いてくれよう、どうするか見ろ……と思っている事を、互いに感付き過ぎる程、感付いていた。もっとも二人のそうした決心にはT子の美貌が反映していた事を否定出来ない。……が併しながら呉青秀の忠志と違ってこの実験に対するWとMの誠意ばかりは、今日までも断々乎《だんだんこ》として一貫している筈だ。むろん二人ともだよ。いいかい……」
「……………」
「……ところでその頃の福岡附近は所謂《いわゆる》、角帽の草分け時代で『末は博士か院長さんか』と芸者連が唄うく
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