った精神科学方面の研究に対する二人の興味は、一種の宿命であるかのように一致していた。或《あるい》は二人の頭脳の正反対の特徴の極端と極端とが偶然に一致していたせいかも知れないが……とにかくそのために、特に当時のその方面の権威者、斎藤博士に就いて指導を仰ぐ事になった訳であるが、その中でも又、特に専門の医学と縁の薄い、迷信とか、暗示とかいう問題に対する二人の研究熱は、殆ど沸騰点を突破しているかの観があった。もっともこれは東洋哲学に造詣《ぞうけい》の深い斎藤先生の指導に影響されたせいでもあるが、その結果、福岡から程遠からぬ所に在るこの有名な、恐ろしい伝説に、二人とも相前後して惹付《ひきつ》けられて行くようになったのは、寧ろ当然の帰結と云うべきであったろう。
 ……今まで一種の敵愾心《てきがいしん》をもって、どことなく折合いかねていた二人は、この伝説に着眼すると同時に、何もかも忘れて握手してしまった。そうして互いに意見を交換して、この問題に対する研究手段の一般方略をきめた結果、Wは『迷信、伝説の起原と精神異状』といったような比較的|質実《じみ》な方面から……又、これに対するMの方は『Wの研究の結
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