眩しい窓の前を通り過ぎる度|毎《ごと》に、チラリチラリとした投影を、私の眼の前の大|卓子《テーブル》の縁に閃《ひら》めかすのであった。
正木博士は又も念入りに咳一咳《がいいちがい》した。
「……今から二十余年前……福岡の県立病院が医科大学に改造されてこの松原に建直《たてなお》された当時の事、その大学の第一回の入学生として這入って来た青年の中に、WとMという二人がいた。その中でもWは法医学、Mは精神病学という…いずれもその当時の医学界で発達の十分でない方向を志しつつ、互いに首席を争い続けていたが、Wは元来の結核系統の家《うち》に生れたせいか、その当時の学生の中《うち》でも一二を争う好男子の偉丈夫で、性質は念に念を入れる神経質の実際家……Mはまたその頃から矮躯《チビ》の醜男《ぶおとこ》で、空想家の早飲込みのドチラかといえば天才肌という風に、各自正反対の特徴を持っていた……それが互いに鎬《しのぎ》を削《けず》って学業の覇《は》を争っていたのであった。
……然《しか》るに今も云う通りWは法医学、Mは精神病学と、その志す最後の目標は違っていたが、唯一の、その頃はまだソンナ名前すら人が知らなか
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