は、どうでもいいんです。……その犯人を突止めて八裂《やつざき》にでもしなければ、浮かばれない人間がイクラでもいるじゃないですか。八代子だって、モヨ子だって、又あの呉一郎だって……僕も連累《まきぞえ》を喰っているんなら僕もです。……何の罪も科《とが》も無いのに、殺される以上の残虐を受けているじゃないですか」
「……フン……それで……」
 と色も味もなく云い棄てたまま正木博士は、自分の吹いた煙の行衛《ゆくえ》をウットリと見送った。私は自分の魂を吐き出すような気持で云った。
「……それで、僕の魂がもし、この身体《からだ》を脱け出せるものなら、僕は今でも、或る一人に乗り移ってその人間の記憶に残っている犯人の名前を怒鳴ってやります。白昼の大道で、公表してやります。死ぬが死ぬまでその犯人に跟随《くっつ》いて行って、殺す以上の復讐をしてやります」
「……フーン。左様《さよう》願えたら面白いがね。しかし誰に乗り移ろうと云うんだい」
「誰って……わかり切ってるじゃありませんか。犯人の顔を直接に見知っている呉一郎がいるじゃありませんか」
「ハッハッハッ。こいつは面白いな、遠慮なく乗り移るがいい。しかしマン
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