に絡み合って、奇抜巧妙な二人一役を演じながら所在《ありか》を晦《くら》ましていたものかも知れない。そうしてその中《うち》に、呉家に絡《まつ》わる不思議な因縁話を聞き知って、呉一郎の結婚式の前日に、こんな残虐を試みた。……それがこの私であったのだ。
……けれども、そうした私自身も、呉青秀の心理遺伝を受け継いでいたために呉一郎と同時にか、又は相前後して、同じような発狂をしたために、真物《ほんもの》の呉一郎と入れ違ってしまったのだ。ドッチがドウなのか本人同志にも解らなくなってしまったのだ。
……正木、若林の両博士は、それを見別けようとしているのだ。被害者と加害者を鑑別しようとして苦心しているのだ。
……そうだ。そう考えれば疑問の根本が立派に解ける。そうだ。それに違いない。それに違いない。それ以外に一切の不思議の解決方法がないではないか。
……ああ。私はやはりこの事件の神秘の正体であったか。……ああこの私が……。
[#ここで字下げ終わり]
一瞬間にコンナ事を考え廻らしつつ魘《おび》え、わなないている私の顔を、椅子の上に反《そ》り返った正木博士は依然として微笑を含みつつ眺めていた。そうして私の
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