一気に続いて来たモノスゴイ説明が、やっとここで中絶すると、私は長い、ふるえた深呼吸をしいしい顔を上げた。正木博士はやはり偉大な精神科学者であった。……というような最初の尊敬を取返すと同時に、何となく安心したような気持になって……それに連れて全身がどことなく冷え冷えと汗を掻いているのに気が附いた。
 私はそのまま今一度ホッとして問うた。
「しかし……あの呉一郎の頭は……治りましょうか」
「呉一郎の頭かね。それあ回復するとも……吾輩には自信がある」
 こう云い放った正木博士は、皮肉な表情でニヤニヤと笑って見せた。私の顔を透《す》かして見るような暗い眼付を真正面から浴びせかけた。
「あの呉一郎の頭が回復するのは、ちょうど君の頭が回復するのと同時だろうと思うがね」
 私は又しても呉一郎と同一人[#「呉一郎と同一人」に傍点]という暗示を与えられたような気がしてドキンとした。……のみならず二人の頭の病気が、全然おなじ経過を執《と》って回復して行きつつあるような正木博士の口吻《くちぶり》に、云い知れぬ気味わるさを感じたのであった。……が……しかし、さりげなくハンカチで顔を拭いて又問うた。
「ハア…
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