、眼鼻立から年頃まで自分に生写しの裸体少女の腐敗像の、真に迫った名画と来ているのだからタマラない。腸《はらわた》のドン底まで震え上ると同時に卒倒して、そのまま仮死の状態に陥ってしまったものと考えられる……という事実を、その調査記録は『抵抗、苦悶の形跡なし』とか『意識喪失後に於て絞首』云々の文句で明かに想像させているではないか」
「……のみならずモヨ子がその後に於て、程度は余り深くないながらに自分と同姓の祖先に当る花清宮裡《かせいきゅうり》の双※[#「虫+夾」、第3水準1−91−54]姉妹《そうきょうしまい》の心理遺伝を、あの六号室で描《か》き現わしている事実に照してみると、その仮死に陥った瞬間というのは、彼《か》の土蔵の二階で、呉一郎がサナガラに描き現わした一千年前の呉青秀の心理遺伝の身ぶり素振りによって、モヨ子が先祖の黛《たい》、芬《ふん》姉妹《きょうだい》から受け伝えていたマゾヒスムス的変態心理の慾望と記憶とを、ソックリそのままに喚起《よびおこ》された刹那《せつな》であったろうという事も、併せて想像されて来るではないか」
「……………」
「……但《ただし》。こういうと不思議に思うか
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