モヨ子を呼び起した。……ところで無論モヨ子はこの時まで、こうした新郎の要求の真実《ほんとう》の意味を知らなかったようである。云う迄もなく呉一郎も、イザというドタン場までは故意《わざ》と真実の事を話さずに、高圧的な命令の形で、熱心に迫ったものらしいので、モヨ子も真逆《まさか》にそれ程の恐ろしい計劃とは知らずに、ただ当り前の意味に解釈して、非常に恥かしい事に思い思い躊躇していたらしい事が、戸倉仙五郎の話に出ている前後の状況で察せられる。……けれどもモヨ子は気質《きだて》が温柔《おとな》しいままに結局、唯々《いい》として新郎の命令に従う事になった。そいつを呉一郎の呉青秀は蝋燭の光りを便《たよ》りにして土蔵の二階に誘い上げた……という順序になるんだ。そこでその現場に関する調査記録を開いてみたまえ」
「……………」
「……それそれ。そこん処だ。階下より蝋燭の滴下起り……云々と書いて在るだろう。その百|匁《め》蝋燭の光りの前で、新郎と差向いになったモヨ子は、初めてその絵巻物を突き付けられながら……この絵巻物を完成するために死んでくれ……という意味の熱烈な要求を受けたに相違ない。しかもその絵を見ると
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