…色と形との、透きとおる程に洗練された純美な調和を表現している美人の剥《む》き身《み》が、少しずつ少しずつ明るみを失って、仄暗《ほのくら》く、気味わるく変化して、遂《つい》には浅ましく爛《ただ》れ破れて、見る見る乱脈な凄惨《むご》たらしい姿に陥って行く、その間《かん》に表現《あらわ》れて来る色と、形との無量無辺の変化と、推移は、殆ど形容に絶した驚異的な観物《みもの》であったろうと思われる。その間《かん》に千万無量に味《あじわ》われる『美の滅亡』の交響楽を眼の前に眺めつつ、静かに紙の上に写して行く心持は、とても一国の衰亡史を記録する歴史家の感想なぞとは比較にならなかったろうと思われる。呉青秀は彼《か》の忠義も、この名誉も、愛慾も、性慾も、その芸術慾も、何もかもを打ち込んだ無我夢中の気持の中に、この快感と美感とを、どこまでも細かく筆にかけつつ、飽くところを知らず惜しみ味わったに違いない。そうしてその残骸が、最早《もはや》この上には白骨になるよりほかに変化の仕様がないところまで腐ってしまったのを見ると、決然筆を擲《なげう》って起《た》った。今一度、この快美感を味いたい白熱的な願望に、全霊をわ
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