うな事が、あり得よう筈はない……ドンナ名人の手に成った如何にモノスゴイ絵であるにしろ、要するに色と線との配合以外の何者でもないだろう。況《いわ》んやこっちで覚悟をしている以上、何の恐ろしい事があろう……ヨシッ……
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 というような反抗心が見る見る高まって来るのを押え付ける事が出来なかった。
 ……だから私はできるだけ冷静な態度で箱を引き寄せた。そうして木の蓋と、鬱紺木綿を開くと、又も、どことなく緊張しかけて来た感情を押え付けようと力《つと》めつつ、まず絵巻物の外側から見まわした。
 巻物の軸は美しい緑色の石で八角形に磨いてあるが、あまり美しいので思わず指を触れて撫で廻してみた位であった。表装の布地《きれ》はチョット見たところ織物のようであるが、眼を近づけて見るとそれは見えるか見えぬ位の細かい彩糸《いろいと》や金銀の糸で、極く薄い絹地の目を拾いつつ、一寸大の唐獅子の群れを一匹|毎《ごと》に色を変えて隙間《すきま》なく刺した物で、貴いものである事がシミジミとわかって来る。千年も昔のものだというのにピカピカと新しく見えるのは、叮嚀に蔵《しま》ってあったせいであろう。そ
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