される事になるかも知れないのだからね。ハッハッハッハッ」
 正木博士は一息にこう云ってしまうと口一パイの白い義歯を露《あら》わしつつ高らかに笑って見せた。その片手に眼の前の新聞の包みを引き寄せて、無雑作にガサガサ引き披《ひら》くと、中から長方形の白木の箱が出た。その蓋を今度は叮嚀な手付きで開いて、直径三寸、長さ六寸位の鬱紺木綿《うこんもめん》の包みを取り出すと箱のふちに一端を載せて、その上からソッと蓋を置きながら、私の前に押し進めた。

 今まで弛《ゆる》み加減になっていた私の全神経は、正木博士の高やかな笑いの波動のうちに、見る見る一パイに緊張して来たのであった。
 ……冷《ひや》かしているのか……威嚇《いかく》しているのか……又は何等かの暗示を与えているのか、それとも亦《また》……心安立てに冗談を云っているのか……全く見当のつかないその笑い顔を見ているうちに、私は又もその笑い顔の持ち主が、世にも恐るべく、戦慄すべき魔法使いその者のように見えて来て仕様がなかった。しかし又それと同時に……
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……何を糞ッ……高の知れた絵巻物の一巻に、男一匹が発狂するまで飜弄されるよ
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