タイたので、私はビックリして座り直した。何だか解らないままに胸をドキンとさせながら……。しかし正木博士は委細構わずに言葉を続けた。
「イヤ感心感心。この事件の興味のクライマックスは実にそこに在るんだ。スッカリ心理遺伝学の大家になっちゃったナ。君は……」
「……ドウしてですか……」
「ドウシテじゃない。まあこの絵巻物を開いて見給え。今の疑問は一ペンに解けてしまうから……もっとも、それと同時に君がホントウの呉一郎ならば、呉青秀の子孫としての心理遺伝的夢遊をフラフラと初めるか初めないか……又は自分はどこそこの何の某《それがし》という者で、ドンナ来歴でこの事件に関係して来たかという過去の記憶を一ペンにズラリと回復するかしないか……それとも又『この絵巻物はこの前に、いつどこで、どんな奴から見せられた事がある』という、この事件の黒星のまん中をピカリと思い出すか出さないか……若林と吾輩のドッチが勝つか負けるか……そうして最後に君の将来は如何なる因果因縁の下に、イヤでもあの美しい令嬢とスイートホームを作らなければならぬのか……というようなアラユル息苦しい重大問題がこの絵巻物を見ると同時に、一ペンに解決
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