てはいけないと云われるとイヨイヨ見たくてたまらなくなるのが『安達《あだち》ヶ|原《はら》』以来の人情だもんだから、呉青秀の子孫の中《うち》にコッソリと、弥勒様の首を引き抜いて、絵巻物を取り出して見る奴が出て来た。そいつがみんなキチガイになって暴れ出した訳なんだが、そこへやって来たのが呉虹汀《くれこうてい》の美登利屋坪太郎《みどりやつぼたろう》だ……こいつが又、禅学か何かの力で、この心理遺伝の作用を看破して、一思いに絵巻物を焼いて終《しま》おうとした。……か、どうか知らないが、おおかた惜《おし》かったんだろう……表面は焼いたふりをして、実は焼かずに元の穴へ納めて、巻物の供養を大々的にやったりしてお茶を濁しておいた。その絵巻物が又、現代の物質万能の世界に大見得《おおみえ》を切って出現して、恐るべき悲劇を捲き起した……というのが大体の筋道だがね……」
「ハア……やっと解ったようですが……しかしその絵巻物を見てキチガイになるのが男に限っているのは何故《なにゆえ》でしょうか」
「ウムッ……豪《えら》い。豪いぞ君は……ステキな質問だぞ、それは……」
と云ううちに正木博士は突然にテーブルを平手でタ
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