んだ。危くまた引っくり返るところであったが、そのうちに、ようようの思いで気を取り直して、どうしてここに……と抱き上げながら、その少女を頭のテッペンから、爪の先までヨクヨク見上げ見下してみると、何の事だ……それは黛夫人の妹で、双生児《ふたご》の片われの芬子《ふんこ》嬢であった」
「ナアンダ。やっぱりそうか。しかし面白いですね。芝居のようで……」
「どこまでも支那式だよ。そこでヤット仔細《わけ》がわかりかけた呉青秀は、芬子さんを取り落したまま、開《あ》いた口が閉《ふさ》がらずにいると、その膝に両手を支えた芬子さん、真赤になっての物語に曰《いわ》く……ほんとに済まない事を致しました。嘸《さぞ》かしビックリなすった事で御座んしょう。何をお隠し申しましょう。妾《あたし》はズット前からタッタ一人でこの家《うち》に住んでいて、姉さんが置いて行った着物を身に着けて、スッカリ姉さんに化け込みながら、毎日毎日お義兄《にい》さまに仕える真似事をしていたんです。……妾の主人の呉青秀はこの頃毎日|室《へや》に閉じ籠って、大作を描いておりますと云い触らして、食料も毎日二人前|宛《ずつ》、見計《みはか》らって買い入
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