の隠れ家を誰も知らなかったので、生命《いのち》だけは辛《かろ》うじて助かっていた。然れ共呉青秀の忠志は遂《つい》に退かず、至難に触れて益々|凝《こ》る。遂《つい》に淫仙《いんせん》の名を得たりとある。淫仙というのはつまり西洋の青髯《ブルーベヤード》という意味らしいね」
「ヘエ……しかし淫仙は可哀相ですね」
「ところがこの淫仙先生はチットモ驚かない。今度は方針を変えて婦女子の新葬を求め、夜陰に乗じて墓を発《あば》き、屍体を引きずり出して山の中に持って行こうとした。ところが俗にも死人|担《かつ》ぎは三人力という位で、強直の取れたグタグタの屍体は、重量の中心がないから、ナカナカ担ぎ上げ難《にく》いものだそうな。それを一所懸命とはいいながら、絵筆しか持ったことのない柔弱な腕力で、出来るだけ傷をつけないように、山の中まで担いで行こうというのだから、並大抵の苦労ではない。あっちに取り落し、こっちへ担ぎ直して、喘《あえ》ぎ喘ぎ抱きかかえて行くうちに、早くも夜が明けて百姓たちの眼に触れた。かねてから淫仙先生の噂を耳にしていた百姓たちは、これを見て驚くまい事か、テッキリ屍姦だ。極重悪人だというので、ワイ
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