ですね」
「純然たる支那式だよ。それから呉青秀は大秘密で大工や左官を雇って、帝都の長安を距《さ》る数十里の山中に一ツの画房を建てた。つまりアトリエだね。しかしその構造は大分風変りで、窓を高く取って外から覗かれないようにして、真ン中に白布を蔽《おお》うた寝台を据え、薪炭菜肉《しんたんさいにく》、防寒|防蠅《ぼうよう》の用意残るところなく、籠城《ろうじょう》の準備が完全に整うと、黛夫人と一緒にコッソリ引き移った。そうしてその年の十一月の何日であったかに、夫婦は更に幽界でめぐり会う約束を固め、別離の盃、哀傷の涙よろしくあって、やがて斎戒沐浴《さいかいもくよく》して新《あらた》に化粧を凝《こ》らした黛夫人が、香煙|縷々《るる》たる裡《うち》に、白衣を纏うて寝台の上に横たわったのを、呉青秀が乗りかかって絞め殺す。それからその死骸を丸|裸体《はだか》にして肢体を整え、香華《こうげ》を撒《さん》じ神符《しんぷ》を焼き、屍鬼《しき》を祓《はら》い去った呉青秀は、やがて紙を展《の》べ、丹青《たんせい》を按配しつつ、畢生《ひっせい》の心血を注いで極彩色の写生を始めた」
「……ワア……凄い事になったんですね
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