いう別嬪《べっぴん》の妻君を貰った。おまけにチョウド水入らずで暮せるような、美しいお庭付きの小ヂンマリした邸宅を拝領したりして、トテモ有り難い事ずくめだったので、暫くは夢うつつのように暮していた訳だね。ところがその中《うち》に、だんだんと落ち付いて来ると、時|恰《あた》かも大唐朝没落の前奏曲時代で、兇徴、妖※[#「(屮/(師のへん+辛)/子」、第4水準2−5−90]《ようげつ》、頻々《ひんぴん》として起り、天下大乱の兆が到る処に横溢しているのに気が付いた。しかも天子様はイクラお側の者が諫《いまし》めても糠《ぬか》に釘どころか、ウッカリ御機嫌に触れたために、冤罪《えんざい》で殺される忠臣が続々という有様だ。……これを見た呉青秀は喟然《きぜん》として決するところあり、一番自分の彩筆の力で天子の迷夢を醒まして、国家を泰山の安きに置いてやろうというので、新婚|匆々《そうそう》の黛夫人に心底を打ち明けて、ここで一つ天下のために、お前の生命《いのち》を棄ててくれないか。いずれ自分も、あとから死んで行くつもりだが……と云ったところが……あなたのおためなら……という嬉しそうな返事だ……」
「トテモ素敵
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