、恋愛遊戯に疲れた不良連中か、又は八犬伝や水滸伝《すいこでん》に出て来る性的不能患者の後裔《こうえい》だからね……しかし君はあの少女を、それっきり何とも思わなかったかね」
 私は本当を云うと、この時の私の心持ちをここに記録したくない。……が併《しか》し、事実を偽ることは出来ない。私は正木博士からこう尋ねられたお蔭で、あの少女に対する私の気持ちが、今朝《けさ》初めて会った時以上に一歩も進み出ていないことを、この時初めて気が付いたのであった。ただ、その気味のわるいほどの初々《ういうい》しさと、眼も当てられぬイジラシイ美しさに打たれただけであった。どうかして正気に返してやりたい……この病院から救い出してやりたい……そうして思っている青年に会わしてやりたいと思い思いして来ただけであった。そうしてそれが果して彼女に対する私の「恋の表現」の「変形」であったかどうか……なぞいう事を考えてみる暇《いとま》がなかったのであった。否……それ以上に深く自分の心を解剖するのを彼女に対する冒涜とさえ考えて、心の奥の奥で警戒していた……その図星を正木博士に指されたような気がしたので、私は何のタワイもなく赤面させら
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