のぞき込んだ。
「ところでどうだい。君自身が何者かというような問題はとりあえず別にしておくとして、君は今朝《けさ》見たあの少女をどう思うね」
 私は質問の意味が解りかねて眼をパチパチさせた。
「どう思う……とは……」
「美しいとは思わなかったかね」
 不意打ちにこうした方角違いの質問を浴びせられた私は狼狽《ろうばい》せずにはおられなかった。頭の中を羽虫のように飛びめぐっていた大小無数の「|?《インタロゲーションマーク》」が一時に消えうせて、その代りに黒く潤《うる》んだ眼……小さな紅い唇……青い長い三日月眉……ポーッと薄毛に包まれた耳……なぞが交《かわ》るがわる眼の前に浮かんで来たと思うと、私の首すじのあたりがポカポカと暖かくなるのを感じた。それにつれて、今しがた気絶しかけた時に飲まされたウイスキーの酔いが、グングンと身体《からだ》中をめぐり初めたように思って、われ知らずハンカチで顔を拭いた。顔中から一面に湯気が湧き出すような気がして……。
 正木博士はニヤニヤしたまま顎でうなずいた。
「フーム……そうだろう……そうだろう。あの少女が美しいかどうかと訊《き》かれて平気で返事の出来る青年は
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