先にあの青年を『自分と双生児《ふたご》に違いない』なぞと信じて来られると、吾輩の話の筋道がスッカリこんがらがって滅茶《めちゃ》になって終《しま》うから一寸《ちょっと》予防注射をこころみた訳さ。アハハハハ」
 私は本当に夢から醒めたように深呼吸をした。今更に正木博士の弁力に身ぶるいさせられつつ、今一度、頭の痛い処に手を遣《や》った。
「……しかし、僕のここん処《とこ》が、今急に……疼《うず》き出したのは……」
 と云いさして私は口を噤《つぐ》んだ。又笑われはしまいかと思って、恐る恐る眼をパチつかせた。
 しかし正木博士は笑わなかった。恰《あたか》もそうした痛い処が私の頭の上に在るのを、ズット以前《まえ》からチャンと知っていたかのように、事もなげな口調で、
「ウン……その痛みかい」
 と云ってのけたので、笑われるよりも一層気味がわるくなった。
「それはね……それは今急に痛み出したのではない。今朝《けさ》、君が眼を醒ました前から在ったのを、今まで気が付かずにいたんだよ」
「……でも……でも……」
 と私はまだふるえている指を一本ずつ正木博士の前で折り屈《かが》めた。
「……今朝から理髪師《と
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