あらん限りの大きな声をゆすり出して笑い痴《こ》け初めた。葉巻の煙に噎《む》せて、ネクタイを引き弛《ゆる》めて、チョッキの釦《ぼたん》を外して、鼻眼鏡をかけ直して、その一声|毎《ごと》に、室中《へやじゅう》の空気が消えたり現われたりするかと思う程徹底的に仰ぎつ伏しつ笑い続けた。
「ワッハッハッハッ。トテモ痛快だ。君は徹底的に正直だから面白いよ。アッハッハッハッハッハッ。ああ可笑《おか》し……ああたまらない……憤《おこ》ってはいけないよ君……今まで云ったのは嘘にも何にも、真赤な真赤な金箔《きんぱく》付のヨタなんだよ……アハ……アハ……併し決して悪気で云ったんじゃないんだよ。本当はあの青年……呉一郎と君とが、瓜二つに肖通《にかよ》っているのを利用してチョット君の頭を試験して見たんだよ」
「……ボ……僕の頭を試験……」
「そうだよ。実を云うと吾輩はこれから、あの呉一郎の心理遺伝のドン詰まりの正体を君に話して聞かせようと思っているんだが、それにはもっともっと解らない事がブッ続けに出て来るんだからね。よほど頭をシッカリしていないと飛んでもない感違いに陥る虞《おそれ》があるんだ。現に今でも君の方から
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