ませながら……。
「フーム。こいつは妙だ。……トテモ面白い現象だぞこれは……」
と独言《ひとりごと》のように云いつつ、徐《おもむ》ろに私の顔から視線を外《そ》らして窓の外を見た。そうして心持ち青白い顔になって、ジッと考え込んでいるようであった。がやがて以前の通りに元気のいい顔色に返ると、ニッコリと白い歯を見せつつ私を振り返った。窓の外を指しつつ快濶《かいかつ》な口調で問うた。
「それじゃモウ一つ尋ねるが、あの畠の一角に立って、老人の鍬の動きを見ている青年がいるだろう」
「ハイ。おります」
「……ウム……いる……ところでその青年は今、ドッチを向いて突立っているかね」
私は正木博士の質問が、いよいよ出でてイヨイヨ変テコになって来るので、妙な気持ちになりながら答えた。
「こちらに背中を向けて突立っております。ですから顔はわかりません」
「ウン……多分そうだろうと思った。……しかし見ていたまえ。今にこちらを向くかも知れないから……。その時にあの青年が、どんな顔をしているかを君は……」
正木博士がこう云いさした時、私の全身は何故《なにゆえ》か知らずビクリとして強直した。心臓の鼓動と呼吸とが
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