姿……。
その悽惨《みじめ》な姿をアリアリと現実に見た一瞬間、私は思わず眼を閉じた。その上から両手でピッタリと顔を蔽《おお》うた。……とても正視出来ないほどの驚きと……恐れと……云い知れぬ神経の緊張に打たれて……。
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……呉一郎はあそこに居るじゃないか。あれは彼《か》の遺言書の中に書いてあった呉一郎の姿に違いないじゃないか。そうしてあれが呉一郎に間違いないとすれば……ここに立っている私は一体、何者であろう……。
……たった今窓の外を覗いた一瞬間に、私自身が、私自身から脱け出して行って、姿をかえてあそこに突立っているような……それを、あとに残った魂魄《たましい》だけが眺めているような……そんなような陰惨な、悽愴とした感じ……。
……もしや今見たのは私の幻覚ではなかったろうか。白昼の夢というものではなかったろうか……。
[#ここで字下げ終わり]
頭の中で電光のように、こう考えまわしつつ……何ともいえず息苦しい、不可思議な昂奮に囚《とら》われつつ、私は又も、徐《しず》かに眼を開いてみた。
しかし解放治療場内の光景は、どう見直しても夢とは思えなかった。……青い青い空
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