ゃつ》が吾輩の遺言書を公表し得るかどうか……公表するとすれば、どんな風に手品を使って公表するかは、ずいぶん面白い見物だぞ……事に依ると吾輩の遺言書は恐らく空前絶後のタチのわるい置き土産になるかも知れないぞ……。
……と……こう考えると吾輩、急に嬉しくなったね。大急ぎでこの室《へや》へ来て書類をスッカリ焼き棄てて、この遺言書を書き初めたんだが、そのうちに夜が明けてみると、君が覚醒しかけたというので、兼ねてから待ちかねて準備していた若林が時を移さず馳けつけて、早速|彼《か》の美少女に引き合わせた。……が……こいつはまんまと首尾よく失敗した。尤も先方は君を恋しい恋しい兄さんと認めてくれたので、まず半分は成功した訳だが、御本尊の君自身が、あの美少女にズドンと肘鉄砲《ひじでっぽう》を喰わせた……自分の従妹《いとこ》とも許嫁《いいなずけ》とも、何とも認めなかったので、今度は手段をかえて、君をこの室に連れて来る様子だ。
……ところで、実を云うとこの時には吾輩も聊《いささ》か狼狽《ろうばい》したね。恐るべきは彼奴、若林鏡太郎だ。彼奴は吾輩のこうした心事を、もう疾《と》っくに見抜いていたんだ。彼奴は
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