るまい。これからが本当の見物だからな……」

 【字幕[#「字幕」は太字]】 再び同年十月十九日(前の場面から約一箇月後)の解放治療場内の光景。
 【映画[#「映画」は太字]】 一番最初に映写した通りの、平らな砂地になった場内の煉瓦塀の前に、畠を打っている老人の鉢巻儀作《はちまきぎさく》があらわれる。但《ただし》、儀作は、最初の場面に現われた時よりも一畝《ひとうね》ほど余計に畠を作っているが、傍《かたわら》に居る痩《や》せた少女も、その半分の処まで、枯れ枝や瓦の破片《かけら》を植えつけている。
 その前に突立っている呉一郎も、最初の場面の通りに微笑を含んで、両手をうしろに廻したまま、老人の打ち振る鍬の上げ下しを一心に見守っているが、僅か一箇月ほど経過した間にスッカリ色が白くなって、肉が丸々と付いているのは、その間じゅう穴掘りの労働を中止して、自分の室……第七号室に閉じ籠っていたからであろう。
 その背後《うしろ》から正木博士がニコニコしながら近付いて来て、やおら肩の上に手を置くと、呉一郎はハッとしたように振り返った。
「……どうだい……久し振りに出て来たじゃないか。スッカリ色が白くなっ
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