眼ばかりがギョロギョロと光っている。流るる汗は止め度もなく、喘《あえ》ぐ呼吸は火焔のよう……殊に、その手に杖ついている鍬の刃先《はさき》が、この数十日の砂掘り作業の如何に熱狂的に猛烈であったかを物語るべく、波形に薄く磨《す》り減って、銀のようにギラギラと輝いている物凄さ……生きながらの焦熱地獄に堕《お》ちた、亡者の姿とはこの事であろう。
 その呉一郎はやがて又、何者かに追いかけられるように、真黒な腕で鍬を取り直した。新しい石英質の砂の平地に、ザックとばかり打ち込んで別の穴を掘り初めたが、そのうちに大きな魚の脊椎骨を一個《ひとつ》掘り出すと、又急に元気付いて、前に倍した勢いで鍬を揮《ふる》い続けるのであった。
 舞踏狂の女学生が、呉一郎の背後に在る大きな穴の一つに落ち込んで、両足を空中に振りまわしながら悲鳴をあげた。ほかの患者たちが手を拍《う》って喝采した。
 しかし呉一郎は、ふり向きもせずに、なおも一心不乱に掘って掘って掘り続けて行くと、やがて今度は何か眼に見えぬものを掘り出したらしく、両手の指でしきりに捻《ひ》ねくっていたが、すぐに鍬を取り直して、眼を火のように光らし、白い歯を砕ける
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