屈《かが》みながら、両手でザクザクと焼けた砂を掘返し初めた。
 最前から入口の処に突立って、その様子を見ていた正木博士は、小使に命じて鍬《くわ》一|挺《ちょう》持って来さして呉一郎に与えた。
 呉一郎はさも嬉しそうにお辞儀しいしい鍬を受け取って、前よりも数倍の熱心さでギラギラ光る砂を掘り返し初めた。それにつれて濡れた砂が日光に曝《さら》されると片端《かたっぱし》から白く乾いて行った。
 その態度を熱心に見守っていた、正木博士はやがてニヤリと笑ってうなずきつつ、サッサと入口の方へ立ち去った。

 【字幕[#「字幕」は太字]】 それから約二個月後の解放治療場に於ける呉一郎(同年九月十日撮影)
 【映画[#「映画」は太字]】 解放治療場中央の桐の葉にチョイチョイ枯れた処が見える。その周囲の場内の平地の処々に真黒く、墓穴のように砂を掘り返したところが、重なり合って散在している。
 その穴と穴の間の砂の平地の一角に突立った呉一郎は、鍬を杖にしつつ腰を伸ばして、苦しそうにホッと一息した。その顔は真黒く秋日に焦《や》けている上に、連日の労働に疲れ切っているらしく、見違えるほど窶《やつ》れてしまって、
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