、絹布とを焼きたる形跡を認むるのみ。表装用の金糸、又は軸に用いられたるべき木材、その他の痕跡絶無也(その他略)
◆備考[#「備考」は太字] (一)姪浜《めいのはま》入口の国道沿い、海岸側に在る山裾の石切場附近を調査の結果、前日呉一郎が絵巻物を披見しつつ腰かけいたりという石は、切り残されたる粗石《あらいし》の蔭に位置しおりて、街道を通過する者の注意を惹《ひ》き難き個所に在り。
 (二)石切場内には大小無数の石片石塊と、石工《いしく》の作業の跡、及、街道より散入したる藁《わら》、紙、草鞋《わらじ》、蹄鉄片、その他凡百の塵芥《じんかい》類似の物のほか、特に注意すべき遺物を認めず。尚《なお》、小雨に洗われたるがためか、呉一郎その他一切の人物の足跡類似のものを認むる能《あた》わず。
 (三)平生、同所にて作業せる石工にして、姪浜町七五番地ノ一に居住せる脇野軍平は、前々日来、その妻女ミツ、及、養子格市と共に腹痛下痢を発し、流行病の疑《うたがい》を受けて交通を遮断されおりしが、日ならずして本服後、二人に問い試みしところを綜合するに、頃日来《けいじつらい》、作業中、疑わしき人物の石切場に立ち入り、又は
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