と本堂に参りまして、勿体《もったい》のうは御座いましたが、御本尊の弥勒《みろく》様をゆすぶり立てて見ますると、成る程コトコトと音が致します。ちょうど巻物のような形のものが、内部《なか》に納まっているに違いない、と思われる手応えで……。
 ――私は余りの不思議に胸が轟《とどろ》くほど驚き入りました。御本尊様の胎内は、この縁起の本文に書いてありまする通りに、絵巻物を焼いた灰ばかりと思い入っておりましたので……なれども、その時に私は又思案を致しまして、これは昔|虹汀《こうてい》様が、その絵巻物を焼いたと佯《いつわ》って実は、旧《もと》の形のままにして仏像へ納めておかれたものではあるまいか。その周囲《まわり》の詰め物が、年代に連れて乾き寛《ゆる》んで、このように音を立てるのではあるまいか。絵の好きな人に、ありそうな事で、絵巻物を惜しむの余りにそんな事にして、年月を重ねて供養していたならば、次第次第に因縁も薄らぎ、祟《たた》りも熄《や》むであろうと思うて、一存で計《はか》らわれた事ではあるまいか。それならば改めて取り出して焼き棄てるべきものであろうか。どうしたものであろうか……なぞと、様々に思わ
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