に在り。呉家四十九代の祖|虹汀《こうてい》氏の建立に係る――
晨《あした》に金光を鏤《ちりば》めし満目《まんもく》の雪、夕《ゆうべ》には濁水《じょくすい》と化《け》して河海《かかい》に落滅す。今宵《こんしょう》銀燭を列《つら》ねし栄耀《えいよう》の花、暁には塵芥《じんかい》となつて泥土に委《い》す。三界は波上の紋《もん》、一生は空裡《くうり》の虹とかや。況《いわ》んや一旦の悪因縁を結んで念々に解きやらず。生きては地獄の転変に堕在し、叫喚鬼畜の相を現《げん》し、死しては悪果を子孫に伝へて業報《ごっぽう》永劫の苛責に狂はしむ。その懼怖《くふ》、その苦患《くげん》、何にたとへ、何にたくらべむ。
こゝに此《この》因果を観じて如是《にょぜ》本末の理趣《ことわり》を究竟《くきょう》し、根元《こんげん》を断証して菩提心に転じ、一宇の伽藍《がらん》を起して仏智慧《ぶつちえ》を荘儼《しょうごん》し奉《たてまつ》り、一念|称名《しょうみょう》、人天咸供敬《にんてんげんくぎょう》の浄道場となせる事あり。その縁起を源《たず》ぬるに、慶安の頃ほひ、山城国、京洛、祇園の精舎《しょうじゃ》に近く、貴賤群集の巷
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