申しておりますそうで、トント当てになりませぬ。
 ――まだ警察の方は一人も私の処へ尋ねてお出でになりませぬ。……と申しますのは、この騒動に一番先に気が付きました者は、お八代さんの金切声をきいて馳け付けた、泊り込みの若い者しか居りませぬ。警察の方はそれから後《のち》の話を詳しく調べてお帰りになりましたそうで……私はもうその前から用心を致しまして、もし自分が疑われてはならぬと思いましたから、宗近先生に口止めを頼みましたが僥倖《しあわせ》と大騒動に紛《まぎ》れて、誰が宗近先生を招《よ》びに行ったやら、わからずにおりましたところへ、思いがけない先生のお尋ねでもうもう恐れ入りました。ヘイ。何一つ隠し立ては致しません。なろう事なら先生のお力でこの上警察に呼ばれぬようにお願い出来ますまいか。この通り腰が抜けておりますし、警察と聞いただけでも私は身ぶるいが出る性分で御座いますから……ヘイ……。

◆第二参考[#「第二参考」は太字] 青黛山如月寺縁起《せいたいざんにょげつじえんぎ》
       (開山|一行上人《いちぎょうしょうにん》手記)
       ――註――同寺は姪浜《めいのはま》町二十四番地
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