だすき》がけで働いておりましたが、何に致せ容色《きりょう》はあの通り、御先祖の六美《むつみ》様の画像も及ばぬという、もっぱらの評判で御座いますし、それに気質《きだて》がまことに柔和《すなお》で、「綺倆《きりょう》千両、気質が千両、あとの千両は婿次第」と子守女が唄うている位で御座いました。又、若旦那様はと申しますと年は二十歳《はたち》という事で御座いますが、分別といい、物ごしといい、三十近い者でも追い付かぬ位シッカリして御座って、ことに男ぶりが又御覧でも御座いましつろうが、お公卿《くげ》様にも無かろうと思われる位、品行がよろしゅう御座いましたので、これ位の夫婦は博多にもあるまいという噂で御座いました。……それにお支度が又金に飽《あ》かしたもので、若旦那の方から婿入りの形にするために、地境《じざかい》の畠を潰しまして、見事な離家《はなれ》が一軒建ちました位で、そのほか着物は、福岡一の京屋呉服店から仕立てて来る。お料理の方も昨日《きのう》から、やはり福岡一の魚吉《うおきち》という仕出し屋が持ち込んで騒いでいるという勢いで、後家さんの気張りようというたなら大したもので御座いました。
――とこ
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