、更に、ここに変態性慾的内容を有する夢中遊行を添加したる形跡の明らかなるものあるは特に珍重頑味すべきところなり。即ち呉一郎は、自己の血統に伝われる、独特固有の、変態性慾的「心理遺伝」の夢中遊行発作(後段第二回の発作参照)に依って、まずその夢幻の相手たる異性を絞殺して第一段の満足を得、然る後《のち》、その屍体の暗示により、前述の如き一般的なる夢遊状態……屍体飜弄に移りたるものなる事を、察するに難《かた》からざるべく……屍体の甚だしく煩悶|輾転《てんてん》せる痕跡、云々と認められしは、その飜弄の痕跡と混同しおる疑あり、或は被害者の苦悶に属するものは、その中の極めて小なる一部分なりしやも計り難し。同時に、その屍体飜弄が一種の変態性慾的の快適を求むる特殊の深刻味を含めるものなりし事は、その飜弄が転々飽くところを知らず、窮極するところついに、変態性慾中に於ても最高度の変態(次項参照)に到達したるを見て察知すべし。
【六】 屍体飜弄に引続く第三段の夢中遊行……
自己虐殺の幻覚と自己の屍体幻視……
「自己虐殺の幻覚[#「自己虐殺の幻覚」に傍点]」及《および》「自己の屍体
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